兵庫鉄道館
〜姫路駅高架化2(1/4)
高架化工事が行われた姫路駅の播但線・姫新線ホームの工事完了までの記録です。

※先行高架化されたJR神戸線・山陽本線ホームの高架化工事の様子については姫路駅高架化を併せてご覧下さい。

2006/3/26、姫路駅ではJR神戸線・山陽本線のホームが高架化するという大きな動きが見られた。
この工事で、姫路駅西側の「開かずの踏切」とも呼ばれた落窪壱踏切を山陽本線の列車が通る事はなくなり、 運用本数の少ない姫新線がその踏切を使用するのみとなった。
「開かずの踏切」とは程遠いものとなった落窪壱踏切は、続いて行われる播但線・姫新線ホームの高架化によって姿を消す。 これは周辺道路の渋滞を緩和できるなどの大きなメリットとなるが、長い歴史を刻んできた存在がまた一つ消える事を意味する。
このページでは、これから消え行く懐かしい姫路駅周辺の景色を少しでも残していくと共に、日々変貌を遂げる姫路駅を紹介して行きたい。


姫路駅中央改札口付近から大阪方面を眺める。このスペースには手前から1番線、上り通過線、3番線があったが、線路は全て撤去され、バラストが残るのみ。 奥で解体が進んでいるホームはJR神戸線で大阪方面へ向かう列車が主に発着していた3・4番線ホーム。かつての姫路駅ではこのホームが一番賑わっていたのではないだろうか。
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姫路駅中央改札口付近の風景(撮影日=2006/10/21)
JR神戸線・山陽本線ホームの高架化が完了しても、変わらず姫路駅西側に陣取るの姫新線のホーム。 以前は0・1番線が姫新線用として使用されていたが、画像1の通り旧1番線の線路が撤去されたため、旧1番線の西側に新たに仮設ホームとして仮1番ホームが誕生した。 播但線・姫新線ホームの高架化工事完了と共に解体されてしまうが、十分すぎる作りである。
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旧1番線の解体で一時的に設置された仮1番ホーム(撮影日=2006/10/21)
姫路駅0番ホームから、先行高架化されたJR神戸線・山陽本線の高架橋がよく見える。転落防止用のフェンスが敷設され壁がない部分が確認できるが、 ここから先に新たな姫新線ホームが増設される形となる。
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新姫新線ホームはここから先に作られる(撮影日=2006/10/21)
播但線・姫新線の駅構内では、車止め衝突防止のために画像のような速度標識が軌間に設けられた。画像の標識は、仮1番ホームが敷設されたのに合わせ、 急遽設置されたと思われる。
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仮1番ホームに合わせて設置されたと思われる標識(撮影日=2006/10/21)
今回の姫路駅の高架化工事は、山陽電鉄にも大きく影響している。以前はJR在来線(山陽本線・姫新線)が地上を走行し、それと平行して山陽新幹線が高架線を走行し、 その中間の高さを山陽電鉄がほぼ垂直にクロスしていた。だが、今回の工事により山陽電鉄と山陽本線の高さが入れ替わる形となった。
しかし、高架化するまで姫新線は地上を走行するため、地上走行へ切替えられる山陽電鉄と同じ高さで交わってしまうため、 姫新線が山陽電鉄とクロスする間だけ地下を走行するという策を取っている。
これにより、姫新線の高架化が完了するまでは画像のように姫新線の列車が山陽電鉄をアンダークロスして地下から上がってきて姫路駅に入線する光景が見られる。
左右に伸びるガーター橋が2本見えるが、手前は解体の進む山陽電鉄の旧線路、奥がこれから使用される山陽電鉄の新線路。 高さの違いや、奥の新線路がJR線をアンダークロスするために勾配になっている事がお分かりいただけるだろうか?
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山陽電鉄とクロスし、地下から出てくる姫新線(撮影日=2006/10/21)
同じ場所から広角で撮影。画像内の踏切は「開かずの踏切」と呼ばれた落窪壱踏切だが、画面中央に見える遮断機は以前は画像に写らないほど画面左側にあった。 今では遮断機は姫新線だけのために作動するため、単線を見守るのみの存在となってしまった。
右側の信号は0番線の出発信号。
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寂れてしまった「開かずの踏切」と信号(撮影日=2006/10/21)
画像3を撮影した辺りから少し左側の架線柱を撮影。架線柱が手前で途切れており、この先に播但線用の架線柱が増設される。 画像の辺りは非電化路線の姫新線のホームになるが、姫新線ホームに播但線の車両が乗り入れ可能なように架線が引かれるようだ。
完全地上駅時代の姫路駅では1番線は車止めのない線路で、普段は姫新線が使用していたが電化され、稀にジョイフルトレインなどを牽引した電気機関車が入線していた。
今回は播但線車両の回送時などに使用されると思われる。
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姫新線ホームまで伸びる架線柱(撮影日=2006/10/21)
画像6を撮影した辺り(0番ホーム西端)から東側を眺める。実は姫路駅には何回も来ているが0番ホームの端まで歩いたのは今回が初めて。 今考えると、0番ホームは無駄に長い…。国鉄時代には長大編成の列車が発着していたのだろうか?帯のように広がる銀色の壁の奥では旧姫路駅の解体工事が着々と進む。
また、壁の手前の狭いペースを見ながら奥へ目をやると延長線上に画像2の姫新線仮1番ホームが見える。ここは以前、上り通過線があった場所である。
画像を左右に横切り駅を跨ぐ歩行者用の通路も、完全高架化で解体されるだろう。
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解体が進む傍ら、従来と大差のない姫新線ホーム(撮影日=2006/10/21)
場所を変えて播但線31番ホーム辺りから解体の進む旧3・4番ホームを眺める。屋根が撤去された上でホームを解体し、屋根の鉄骨は残されているのがわかる。
奥には同様に解体の進む旧6・7番ホームが見える。手前の緑の機械の奥に、跨線橋から6・7番ホームへ繋がる階段も確認できる。
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解体の進むJR神戸線・山陽本線ホーム(撮影日=2006/10/21)
同じ場所から少し東側へ視点を動かすと、3・4番ホームの端にあったかつての駅員事務所が確認できる。6・7番ホームの駅員事務所は正反対の岡山方にあった。 無論、今では機能は高架化された新ホームに移転されているが、新駅員事務所は画像のようにホームの端に敷設されたワケではなく、若干ホームの中寄りに敷設された。
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後々に解体される事となる旧駅員事務所(撮影日=2006/10/21)
画像10の一部を拡大撮影。3番線の停止位置標識だが、同じ物が地面にも設置されていた。 かつては歴史のある寝台特急やジョイフルトレインもここを目印に停車していた。機関車の高運転台に合わせて設置されたのだろうか?
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今ではここに停車することのない停止位置標識(撮影日=2006/10/21)
場所を東へ移して同じ駅員事務所を撮影。画像右側は1番ホームとだが、画像の奥に見える仮設通路を境に線路は剥がされ、転落防止用の柵が設置されている。 線路が剥がされ雑草が生い茂っている部分があるが、バラストなどを見るとここに線路があったことはまだ思い出せる。 数年経つと、この辺りはどのようになってしまっているのだろうか。
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この風景を見られなくなる日もそう遠くはない…(撮影日=2006/10/21)
画像12を撮影した位置から東側を撮影する。架線柱が残っているが、架線は撤去されている。 当然ながらこの辺りにも線路が広がっていたが、線路は全く見当たらない。この周辺から優先的に撤去作業が進んでいるようだ。
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優先的に撤去が進んでいる姫路駅東側(撮影日=2006/10/21)
JR神戸線の新ホーム(5・6番ホーム)東端からの風景。手前の線路は5番線の線路。その奥には線路が束になって置かれているが、線路を敷設する土台がほぼ完成している。 土台をよく見てみると、線路の分岐点(ポイント)が敷設される場所や番線の数までも予測できる。
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播但線新ホームの構造なども見えてきた(撮影日=2006/10/25)
32・33番線ホームの東端から、画像13の奥にも見える朝日橋付近を撮影。この辺りは今でも播但線が使用するため、線路が手付かずで残されている。
画像中央の奥の方で右にカーブしている複線の線路は、以前のJR神戸線の上下本線だったが、手前(画像右側)で線路は切れてしまっている。 JR神戸線・山陽本線が高架化されてからは特急はまかぜや、播但線の車両の姫路〜網干総合車両所間の回送、臨時系の運用で播但線を経由する列車など、 播但線関連の運用にのみ使用されるが、左側の線路しか使用されていない。
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播但線とJR神戸線を繋ぐ唯一の命綱(撮影日=2006/10/25)
フェスタ口が設けられている跨線橋。ここもよく利用したが、解体が進み現在は他のホームには繋がっておらず、フェスタ口から駅ビルへ行く機能のみ。
しかし、日々姿を変えていく姫路駅の状況を知らない人も多く、ここを通って新ホームへ行こうとする人が後を絶たないようだ。 そのため、駅ビルの営業時間までは閉鎖されている。姫路駅へ行くと、この間違って跨線橋を利用しようとする人を頻繁に目撃する。
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駅ビル営業時間までは閉鎖されている(撮影日=2006/10/25)

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