兵庫鉄道館
〜ロングレール輸送〜
向日町操〜姫路新幹線保線区間でのロングレール輸送の詳細です。
※複数の同じ運用時の画像を使用しています。

※各画像の下に記している「撮影時刻」は、所有するカメラに残ったデータの時刻であり、正確な時刻より若干のズレはあると思って閲覧してください。

向日町操から今年もロンチキがやってくるという事で御着駅にてスタンバイ。スジはどうやら、網干総合車両所へ入場する際によく使用される試6973レを使う様子だったので時間を合わせて待機。
すると、御着駅から大阪方面に見えるトラス橋辺りにEF65の高位置ヘッドライトが見えてきた。しかし、先行列車の普通電車がまだ御着駅3番線に停車していたので、橋梁付近で信号待ちのため徐行をしていた。
そしてゆっくりと御着駅2番線に入線。編成はEF65 1134+DE10 1164+ロンチキ12両だった。往路はELとDLの重連で来るんだなぁ…と初めて知った瞬間だった。
御着駅2番線に入線してくる本題の編成(撮影時刻=13:54)
1番線に221系の上り普通電車が入線してきて被っていたうちに停車、切り離し準備が即座に行われ、221系が発車後すぐにEF65 1134は短く警笛を鳴らし編成から切り離されDE10 1164から少し離れた位置で停車した。
編成から切り離され、単回の準備をするEF65 1134(撮影時刻=13:55)
EF65 1134が編成から少し離された事により、DE10 1164+ロンチキの編成を撮影できるようになった。これだけを見るとDE10がロンチキを牽引してきた様に十分思える。
DE10 1164+ロンチキの組み合わせ(撮影時刻=13:57)
ここで今回の運用を担当する各機関車を紹介。まずは御着駅〜姫路新幹線保線区までの短い期間の牽引のみを担当するDE10 1164。
姫路新幹線保線区内でロンチキを牽引するには同区内にいる事業用車で十分なのだが、姫路新幹線保線区はあくまで新幹線のために敷設された施設なので、標準軌の車両しか所属していない。そのため、御着〜姫路新幹線保線区の非電化区間+狭軌区間を牽引できるDLが必要となるのである。(ちなみに、同区内には線路の積み下ろしを行う線路など、標準軌と狭軌の両方の列車が入線できる線路が一部だが存在する。)
時々でもロングレールの輸送は行われるのだから、同区に狭軌用のDLを1両くらい配置しても悪くないのでは?
この日の非電化・狭軌区間牽引担当DE10 1164(撮影時刻=13:57)
DE10 1164の乗務員室の側面周りを撮影。吹田機関区所属である事がわかると共に、乗務員室の運転台はスペース上の問題からか線路と平行に設置されている事がわかる。つまりDE10を運転する運転士は、体を横に向けながら運転をするのである。
DE10 1164の常務員室周りの様子・構造(撮影時刻=13:57)
次は、向日町〜御着駅の長い電化区間を牽引してきたEF65 1134。
ロンチキを返却回送する際もEF65が向日町まで牽引を担当するので、DE10よりは明らかに担当する距離が長いのだが、この運用の場合はなぜかDE10の方が目立ってしまう。
この日の電化区間牽引担当EF65 1134(撮影時刻=14:00)
14:08にEF65 1134が短く警笛を鳴らし、単機で御着駅を後にした。姫路方面へ単機で向かったのだが、数日後の返却回送まで網干総合車両所で一休みするのかもしれない。
単機で御着駅方面へ回送されて行くEF65(撮影時刻=14:08)
チキを1両ずつ眺めながらホームを大阪方へ歩く。そしてホームの端付近まで歩いて来たので、振り返る形で編成を撮影。1番線のホームの大阪寄りからでは編成全てを写し込む事ができない。
御着駅には他に2・3番線のホームがあるのだが、そちらの方が大阪寄りが少し長くなっている。だが、2・3番線のホームですらロンチキは一部はみ出してしまっているので結局、停車中は駅構内で全編成を後追い撮影できないのである。
後追いで更に編成美が際立つロンチキ(撮影時刻=14:09)
京都総合運転所に所属するロンチキは12両で1組とし、時折編成を変えながら走行しているのだが、滅多に編成から外れる事がなく外観も他のチキと違い異彩を放つ車両が2両ほど存在する。
そのうちの編成中間部にいつも組み込まれている1両、チキ5602を紹介する。
この車両は常にロンチキの編成中ほどに組み込まれており、おそらく積載されているレールがずれ動かないよう固定しているものと思われる。200メートルもの長いレールを輸送するのに、固定する場所が1ヶ所だけで十分なのか、少し不安を感じる。
外観は他の車両と異なるが形式は同じチキ5500である。(撮影時刻=14:41)
ロンチキが姫路新幹線保線区に入るまでまだまだ時間があるので、色々撮影してみようと思い跨線橋の上から撮影。架線が少し邪魔だが、貴重な構図であると言える。
ロンチキを高い場所から眺める(撮影時刻=14:43)
相当時間があったので、今度は2・3番線のホームから再びチキを1両ずつじっくりと眺めながら歩く。ふとプレートを見てみると、車両によって製造元、レール輸送専用車に改造された工場が異なる事が判明。
レール輸送専用車に改造した工場は、郡山工場、幡生工場、長野工場、鷹取工場、大宮工場と様々であった。ほとんどの車両は車体側面にプレートが取り付けられているのだが、大宮工場で改造工事を受けたチキのみ、プレートが妻面に取り付けられていた。
改造された工場と時期が一目で分かるプレート(撮影時刻=14:50)
チキ5513の側面に入っていた今回の運用の詳細を表すもの。編成はチキ12両、輸送区間は向日町〜御着、輸送物は60kgレール、輸送日は2/12であるという事が確認できる。駅名コードがどのようにして割り振られているのは不明だが、向日町は6012、御着は6048だと確認できる。(何の役にも立たないが…)
この日の輸送内容の詳細が記されている(撮影時刻=14:57)
ホームの姫路寄りの端まで歩き切り、DE10 1164を眺めて再び1番線のホームへ戻り、姫路新幹線保線区へ向けて発車するのを待つ。そして同じような構図で満足するまで撮影。
発車を待つDE10 1164とロンチキ(撮影時刻=15:02)
そしてDE10のデッキに、姫路新幹線保線区まで誘導をされる保線作業員の方が乗り、いよいよDE10 1164が大きなエンジン音を響かせ、目の前に見える姫路新幹線保線区へ向けゆっくりと動き出す。ここからがこの運用で数少ないDE10の力の見せ所である。運転士の方はホーム上の安全を確かめながら御着駅を後にする。
保線区へ向け発車するDE10+ロンチキ(撮影時刻=15:14)
ホームにディーゼル機関車独特のエンジン音を残し、ロンチキ編成はゆっくりと御着駅を後にする。目の前をチキが1両ずつ通り過ぎて行く。そして、御着駅に停車中はできなかった、後追いでの編成撮りを無我夢中で行う。
ロンチキが2番線から下り本線へ渡っていくポイントにさしかかると、積載されているロングレールがそのカーブに合わせ湾曲する。鉄の棒がいとも簡単に曲がる、何とも言えない光景である。だが、柔らかそうに見えるこの鉄の棒が計り知れない重量の鉄の塊を支えるのである。
御着駅を出て、姫路新幹線保線区へと向かう編成(撮影時刻=15:15)
離れていくロンチキを何度もズームを繰り返しながら撮影する。積載されているロングレールが曲がっているのを見ると、何か神秘的な物にも見えてしまう。
台車に合わせロングレールが大きく湾曲する(撮影時刻=15:15)
編成の先頭に立つDE10 1164は架線柱にある第三閉塞信号の標識に差し掛かった辺りだろうか。この少し奥が下り本線から姫路新幹線保線区構内へとつながるポイントの場所である。
もうすぐ姫路新幹線保線区構内へ入るというのに、ロンチキの後部はまだ御着駅2番線から下り本線へ渡っている途中である。編成の長さと、御着〜姫路新幹線保線区の距離の短さを物語る1コマである。
目的地の姫路新幹線保線区に到着する直前の様子(撮影時刻=15:15)
最後に御着駅から姫路新幹線保線区方を眺める。奥にはうっすらと姫路城も伺える。確認しづらいが、下り本線から姫路新幹線保線区へつながるポイントが奥に見えるのがお分かりいただけるだろうか?
下り本線より左側の敷地が姫路新幹線保線区となる。画像中央の奥に見える黄色い大きな門のような物は線路の積み下ろしを行う機械である。この機械の下にロンチキが停車し、作業員の方の手によって線路が1本ずつ降ろされていくのである。
御着駅から姫路新幹線保線区方を眺めた風景
今回、向日町から姫路新幹線保線区へ輸送されたロングレールは200mの60kgレールが13本。姫路新幹線保線区で降ろされた後、終電から始発までの深夜の時間帯に古いレールとの交換が行われるものと思われる。
何十本も置かれていたロングレールが数日後には全てなくなっていた…という事も珍しくなく、深夜の時間帯に必死に安全のために作業をしてくださっている保線作業員の方には本当に感謝の一言に尽きる。
このような"縁の下の力持ち"といった存在の方がいてこそ鉄道業界が成り立つのであり、皆さんが安心して列車を利用できるのである。

最後は何やら湿っぽい形で終わってしまいましたが、この特集を最後まで見てくださった方、ありがとうございました。この特集に続くものがロンチキ返却回送となりますので、併せて見ていただければ幸いです。
また、ご意見・ご感想などを掲示板の方に書いていただければと思います。

工臨で使用されたロンチキ編成の詳細(姫路新幹線保線区寄りから順番)
2007/2/122007/2/20
形式名所属全検履歴形式名所属全検履歴
EF65 1134下関車両管理室未確認EF65 1126下関車両管理室H17 3
DE10 1164吹田機関区H13 9DE10 1164吹田機関区H13 9
チキ5513京都総合運転所H17 11/15チキ5707京都総合運転所H15 11/21
チキ5810京都総合運転所H17 5/23チキ5531京都総合運転所H18 3/10
チキ5532京都総合運転所H18 9/8チキ5605京都総合運転所H18 7/12
チキ5520京都総合運転所H17 5/23チキ5713京都総合運転所H17 10/17
チキ5534京都総合運転所H18 10/24チキ5512京都総合運転所H18 10/24
チキ5602京都総合運転所H17 11/15チキ5525京都総合運転所H14 5/21
チキ5542京都総合運転所H18 5/12チキ5603京都総合運転所H18 2/13
チキ5526京都総合運転所H18 9/8チキ5622京都総合運転所H18 1/17
チキ5720京都総合運転所H17 5/23チキ5530京都総合運転所H18 3/10
チキ5529京都総合運転所H18 5/12チキ5715京都総合運転所H17 4/11
チキ5528京都総合運転所H16 3/4チキ5808京都総合運転所H15 5/7
チキ5703京都総合運転所H16 3/29チキ5537京都総合運転所H18 7/12
2007/3/14
形式名所属全検履歴
EF65 1128下関車両管理室H17 6
DE10 1164吹田機関区H13 9
チキ5513京都総合運転所H17 11/15
チキ5810京都総合運転所H17 5/23
チキ5532京都総合運転所H18 9/8
チキ5520京都総合運転所H17 5/23
チキ5534京都総合運転所H18 10/24
チキ5602京都総合運転所H17 11/15
チキ5542京都総合運転所H18 5/12
チキ5526京都総合運転所H18 9/8
チキ5720京都総合運転所H17 5/23
チキ5529京都総合運転所H18 5/12
チキ5528京都総合運転所H16 3/4
チキ5703京都総合運転所H16 3/29


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